隠居たるもの、暮らしの仕事をそつなくこなす。この徒然なる省察の第10段「家事労働の楽しみについて」 https://inkyo-soon.com/housekeep/ において、「顔がいかついからか家事をしないように思われることが多い。でも私は家事をたしなむ者であり掃除と洗濯を担当している」と申し上げたことを憶えておいでだろうか。ふりかえってみると、それを記したのは6月1日、半年前のことであった。オリンピック担当大臣を辞任されたばかりの千葉県は柏あたりの先生が、またもや何が問題なのかもわからないまま朗らかに確かな仕事を披露し、「失言担当大臣」などと揶揄されていた頃のことだった。
アタック ZERO 2019年4月に発売開始
私が花王の回し者でないことをまずは断っておきたい。しかしCMが流れた当初から、この製品が画期的であることにすぐ気がついた。まずはCMである。出演は、若いイケメン俳優5人(松坂桃李/菅田将暉/賀来賢人/間宮祥太朗/杉野遥亮)だった。通常、洗剤のCMキャラクターは専業主婦を想起させる女性。これはあくまで私の感想であって、どう受け止めるかはそれぞれであろうが、そこからして違う。
洗濯に性差はあるのか?それとも個人差?どうでもいいけど。
物干し道具のピンチの数などに限りがあるから、私は干すことから逆算してその日に洗濯するものとその量を決めたりする。そうしている様子を見て「男の洗濯」と少しばかり笑って、「ピンチが足りなかったら足りなかったでどうにかするのさ」とつれあいはよく言う。そうかもしらんが、パンツはすっきり吊るされた方が綺麗に乾くような気がしないか?そしてもうひとつ、つれあいからバトンタッチして日々の洗濯を受け持つようになったとき、実はモヤモヤとしていたことがあった。洗濯物の量に応じて、洗濯機が洗剤の分量を0.3とか0.4とか0.5とか明示する。洗剤(うちはアタック NEO 抗菌EX Wを使っていた)容器のキャップに1本だけ引かれたラインから、目測でその日の洗濯に必要な分量の見当をつけるわけだが、そんな頼りない基準でどうしたって正確に測れるわけがない。つれあいにそのあたりのことを聞いてみると「え?適当よ、適当。ぷっ…」という態度であしらわれる。そんなものかと思いながらも釈然としないままだったのだ。それがだ!アタック ZERO プッシュ式においては、プッシュの回数という迷う余地のない基準が設けられたではないか。同じように感じていた人が開発に携わったに違いない。ようやくモヤモヤは解消された。
「日中に外に干す」ことは、もはや常識ではない
発売当初から「これを早く使いたい!」と思いながら8ヶ月が経った。今年の初めに、アタック NEO 抗菌EX Wの詰め替えお得用パックをふたつも購入してしまったからだ。11月いっぱいでそのストックを使い切り、念願のアタック ZERO プッシュ式。香りも強くなく具合がいい。そして、もうひとつ感心したことがある。「生乾き臭」に強くなったというのだ。「生乾き臭」の原因は主に「菌」、太陽が当たる場所で干せば避けられる。だけどどうだろうか。住環境にも左右されようし、世帯構成にもよろう、職業の事情もあるだろう、つまりは今日、多くの世帯は朝に洗濯し日中に干すことができるわけではないのだ。部屋干ししかできない方々もいるだろう。うちだって思う存分にベランダで干せるのは週末だけだったりする。そう、この商品は訴求する対象を旧態依然の枠に絞っていない。そのことに好感が持てるのだ。
やはり家事労働にはロンドンパンク
この徒然なる省察の第10段「家事労働の楽しみについて」において、家事労働のBGMは70年代後半のロンドンパンクに限ると記した。そこに変わりはないが、アタック ZERO プッシュ式で洗濯がいくらか軽快になった分、クラッシュやダムドはいささかつんのめり過ぎている。ロックンロールでたたみかけるトム・ロビンソン・バンドの「POWER IN THE DARKNESS」、このところはこれがはまる。
ああ、もうすぐ隠居の身。今や洗濯はライフワークである。