隠居たるもの、ときに好んでジャンクを食す。念願の「のり弁当」をつい先ほどに食べ終え、そこはかとなくカタルシスに浸っている今現在である。寝床に入ってから「そうそう、明日の午前中は買い物に行くのであったな」などと頭に浮かんだ昨晩のこと、どういうわけか「あ、それならば昼飯にのり弁当を食べたい」と思い当たり、朝からそわそわ落ち着かなかったのである。買い物に行くことを考えて何故に「のり弁当を食べたい」と思い当たるかというと、買い物に出向くスーパーの道すがらにHotto Motto(ほっともっと)があるからだ。
のり弁当はグレードアップしていた
ファーストフードのハンバーガーやフライドポテト、もしくはデリバリーのピザが「どうにも食べたい」となることはもうないが、吉野家の牛丼とHotto Mottoののり弁当だけは、今でも時たま唐突に「どうにも食べた」くなることがある。思えば、両者ともに40年来のつきあいだ。在宅勤務を命じられてから昼食を外でとることがほとんどなくなり、吉野家はとんとご無沙汰しているものの、のり弁当は2ヶ月ぶりくらいになろうか。そして、食べ終えていつもと変わらずそこはかとないカタルシスに浸りながら、「ちょっと変わったんじゃないか?」と頭を巡らせていたのだ。まず、調味料が「ソース」しか選べなかったところに「だし醤油」が加わりバリエーションが増えた。圧倒的な醤油派である私にとってこれは嬉しい。今までだって庵に持ち帰っては醤油をかけていたのだ。ソースで食べたくないから、庵に持ち帰れる時しか購入もしなかった。それに加えて、いつもはご飯が余るような塩梅(血糖値の上昇を気にしておかずから食べてしまうから)になるところが、今回はそうはならなかった。調べてみると、なんと6月1日より「のり弁当」がグレードアップしたとの公式アナウンスがあった。白身魚フライを20g増量していたのである。(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000027.000054093.html)そういうことだったのか。いやあ、いい仕事をしているんだから、いくらか値段を上げたっていいさ。だからフランチャイズをいじめるのはやめたがよかろう、株式会社プレナスさん。
モンスター・ゼロとなってグレードアップしていた
「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」(2019年公開 ハリウッドが作ったゴジラ映画 https://godzilla-movie.jp/)におけるキングギドラの呼称である。これがもう凄い。ゴジラ、キングギドラ、ラドン、モスラが登場する、いわば現代に蘇る「三大怪獣 地球最大の決戦」(1964年12月20日公開 東宝映画)にしてゴジラ65周年記念作品なのだが、ストーリーがどうかなんかは別にしてとにかく凄い。とりわけてもモンスター・ゼロ、つまりキングギドラのグレードアップ具合が甚だしく、残忍なあまりもはや神々しい。ゴジラを愛する芹沢博士を演じた渡辺謙が少し浮いているのもご愛敬、とにかく主役は今日の技術で作り上げ演出された怪獣たちだ。幼少のみぎり、私たちはゴジラに夢中だった。だからといって後期中齢者となった今、当時の怪獣映画を観て同じように我を忘れられるだろうか?そんなことはまずない。私たちが夢中になったゴジラやキングギドラはこうしてグレードアップし、時を忘れる見事なパニック映画の主人公となっている。実は、これまで使っていたプロジェクターを山の家にお下がりとして出すため、INKYOシネマズは新たにプロジェクターをグレードアップした。本作の上映は短期間ですでに2度目、記憶に新しい映画を上映しあらためて導入した機種の実力を実感してみたい、そう考えたのだ。期待通りの画質に満足したが、それよりも2ヶ月前に観たばかりの映画にまたしても我を忘れてしまったことに驚いた。
豪雨はいつまでグレードアップするのか
昨晩、この映画を選んだのにはもうひとつ理由がある。3日に降り始めた九州の雨は、一昨日の7月5日には河川を氾濫させるに至り、多くの命を痛ましくも奪いながらまだまだ降り続けるという。縁ある地の予断を許さない状況が気にかかりニュースを見続ける。だから、進んで忘我の時間を作りたかったのだ。毎年毎年「今までに経験のないほどの雨」がどこかに降りしきる。今回の豪雨被害がまだ出ていない4日あたりのテレビで目にしたのだろうか、「2018年西日本豪雨で被災し、復興のための優遇融資を受けた方々の据え置き期間2年が終わる。しかし、このタイミングで新型コロナ禍に見舞われ、立ち行かなくなり返済が困難な小規模事業者が続出している」というレポートがあった。居酒屋を営むおじさんは「あと半年でもう無理だね」と口にしていた。あまりにも胸が痛む。気候変動を今すぐどうにかはできなくても、どうにかできることはないのだろうか。
Go To キャンペーンを大幅にグレードダウンしたらどうだろう
被災し暮らしすらままならない方々には支援が必要だ。この際、「Go To キャンペーン」とやらはやめにして、1.7兆にも及ぶ多額の予算をこれまでそして今も被災されている方々により多く回したらいいのではないか?ほとんどの人が受け取って困っていた布製マスクに466億を費やしてしまったことや、ロクでもない河井夫妻に渡してしまった1.5億を今さらどうにかできるわけではないが、電通やパソナなどの政商ばかりを肥え太らせるのは差し控えるべきだし、それに新型コロナ禍がどうにかなったら、キャンペーンがあろうがなかろうが、可能なみなさんは放っておいたって旅行に行くし外食もするだろう。この星の守護者にして王者たるゴジラとともに、私はそう思う。ああ、もうすぐ隠居の身。とにかく九州のみなさんがご無事であらんことを祈るばかりだ。