隠居たるもの、ときにアンテナを高く張る。いよいよ佳境を迎える「山の家プロジェクト」である。ことここに及んで表明するのもなんだが、この「山の家プロジェクト」というものは、「山の家」を建ちあげることだけで成立するものでは決してない。例えば、「散種荘のインターネットはどうする?」この課題に対処すること、それはすなわち「そもそもインターネットにどこまで求める?深川の庵のインターネット、ひいてはモバイル通信環境はどうする?携帯会社はこのままでいい?」など「総合的、俯瞰的」な取り組みに発展する。どこぞの「偉くなっちゃった人」のように、何かをごまかすために意味もわからずとりあえず語気を強くしてしているわけではない。その証拠に、私はここに説明を試みる。

散種荘のインターネット開設は12月10日

「山の家」にはフレッツ光を導入することとした。さすが山の中で、いわゆるモバイルwifiの電波が届かない。スマートフォンの4G回線ギャザリングも電波が弱くてまったくもって頼りない。今後ここでパソコン越しに仕事をすることもあろうし、この省察「もうすぐ隠居の身」を綴って投稿することもあろうし、置くことを考えてないからテレビアンテナはそもそもないし、それでもってNetflixなぞで映画のインターネット配信をフル容量で受けたいし…、つまり弱々しいインターネット環境に甘んじることはできないのだ。だとすると方法はただひとつ、NTTの光回線を線としてしっかり引っ張る、これしか選択肢がない。そう腹を決めてプロバイダーを選んで「えいや」と申請したのは1ヶ月前の9月下旬。まずは野っ原に新しく建ちあがった散種荘をNTTが目視の上で住所登録、それから引き込み可能かどうかを現地確認(10月20日に立ち会って完了)、その場で「可能」と判断されたのだけれど後に提示された工事日程はなんと12月7日以降…。山の中の話だし、インバウンドさんが建ててるなんだかお洒落なホテルのwifi工事が大変なんだそうだし、まあ致し方ない。とにかく12月10日、いよいよ散種荘にインターネットが通る。

薪ストーブの煙突の向こうに、気持ち良さそうに浮かぶパラグライダーが小さく見える。

携帯会社を分散する

この18年半、私とつれあいはソフトバンクと契約してきた。しかし、これからそれぞれに乗り換える予定だ。散種荘にインターネットを導入するにあたって、そもそも長年にわたって携帯電話の契約をしているのだから、まずはソフトバンクに相談を持ちかけた。カスタマーサービスに「契約主体は法人にする」と伝えると、「それはできないので個人で契約して、使っているのは法人という『みなし法人』にしてくれろ」と訳のわからないことを言う。なんだ?ここであなたが言っているその「みなし法人」って何?…。それに加えて、深川のマンションのインターネットも異常に遅いから、やはりソフトバンクにWebで乗換えの相談をしたところ(これも一月ほど前、こちらは「個人」契約)、「お電話いたします」とメールの返信があったきり一向になしのつぶて…。信頼が根こそぎ無くなり、散種荘のプロバイダーは迷うことなく他社にした。つれあいはその会社と提携していて携帯料金の割引サービスもあるauに乗り換える予定だ。それでは私もauにするのかというとそうではない。こちらはdocomoにしようと考えている。これからは山の中に頻繁に出入りするのだ。山にいる時、何かがあって二人ともが契約する携帯会社の通信に支障が起きた場合、下手したら私たちは「孤立」する。東日本大震災で経験したように、docomo・au 双方の通信がダウンすることだってそれはもちろんある。しかし、リスクはできうる限り分散するに越したことはないだろう。

docomoショップで探りを入れる

今日の午前10時30分、「今すぐではないけど乗り換えての新規契約の相談」と予約を入れた近所のdocomoショップに出かけてきた。やはり都心の携帯ショップとは雰囲気が違う。私のすぐ後ろに案内されたのは「LINEが使えなくなっちゃって…」と駆け込んできた初老の女性だった。丁寧な応対に感心する。この店の人たちは気持ちがいい。壁には高齢者に向けた「スマホ教室」のポスターが貼ってある。iPhone12にしたとしてのひと月あたりの料金、庵のインターネットをdocomo光へ乗り換えることの是非(今だって使っているのはNTTの回線だから、現況について調べ上げてくれた。結論は「マンションに通っている回線では、個人の対応で劇的に通信スピードを上げることは無理」だったのだけど、それを知ることができただけでも良かった)、少しでも私に利があるようにはどう進めたらいいか、およそ1時間半にわたってじっくりと相談に乗ってくれた。今後の私にとって「山の中」が最も通信環境が整う場になることがこれではっきりした。

芭蕉翁だって環境を一新する

もう少し調べごとをして、私は携帯会社をdocomoに変えるだろう。少しは安くなる選択をするが、携帯料金が劇的に下がることは期待していない。他の国の料金は「国家事業」として国が関与しているから廉価なのであり、そうすることなく「安くしろ」それでもって「5Gも開発しろ」と圧力をかけるのはヤクザと同様「いいがかり」というものだ。このところの動きを見れば、「携帯料金を安くする」のではなく「料金の安いプランも作ります」というお互いの「顔」を立てた茶番に落ち着きそうではあるが…。だから私が望むスペックのプランはまだ安くならないだろうし、そうなったとしても二人がかりで応対してくれた今日のスタッフにしわが寄るのは忍びない。

docomoショップでの有意義な時間を経て、またしてもホームセンターのコーナンに寄った。途中に松尾芭蕉翁が佇む庵がある。「秋の長雨」が過ぎ去ったからだろうか、ペンキ塗り替えの真最中だった。芭蕉翁の仮住まいも綺麗に一新される。「山の家プロジェクト」とは、「定年退職」を経た私が、「総合的、俯瞰的」に生活環境を根本から考え捉え直すプロジェクトでもある。ああ、もうすぐ隠居の身。だからこそ当たり前に説明できる。

投稿者

sanshu

1964年5月、東京は隅田川の東側ほとりに生まれる。何度か転宅するが、南下しながらいつだって隅田川の東側ほとり、現在は深川に居を構える。「四捨五入したら60歳」を機に、「今日の隠居像」を確立するべく修行を始め、2020年夏、フライングして「定年退職」を果たし白馬に念願の別宅「散種荘」を構える。ヌケがよくカッコいい「隠居」とは? 日々、書き散らしながら模索が続く。 そんな徒然をご覧くださるのであれば、トップにある「もうすぐ隠居の身」というロゴをクリックしてみてください。加えて、ホーム画面の青地に白抜き「What am I trying to be?」をクリックするとアーカイブページにも飛べます。また、公開を希望されないコメントを寄せてくださる場合、「非公開希望」とご明記ください。

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