隠居たるもの、港々に愛車あり。「白いマーチが我らが愛車」などと嘯(うそぶ)きレンタカーライフに充足している私たちであるが、実はつれあいのお兄さんは長年にわたり自動車業界に身を置き新車を開発してこられた方で、しかもマーチをこしらえている会社とは違う会社だったりする。いささか申し訳なく思うのは人情だから、車種を選べるときは必ずフィットを指定している。私たちが車を必要とするのは、いくらか遠くに遊びに行くとき、もしくは店を何軒かまたいで買い物をするとき、そしてそれら双方を一両日以内にこなすとき、このいずれかだ。とりわけホームセンターに用向きがあれば大概は車を借りることになる。しかし私たちが足繁く通うコメリなら大丈夫。顧客に軽トラックを無料で貸してくれるのだ。

コメリの軽トラが60分貸出無料だからといって

コメリの会員になっておく、大きな品物を買い求める、「軽トラックは今は空いているのかい?貸してもらえるかしら?」とレジで申し出る、すると駐車場の外れに停めてある(あまり使われていない)軽トラックの鍵が渡される。(申し訳ないことに、これもお義兄さんのメーカーのものではない。)「60分を超えると30分につき500円いただきます」とのことだが、それにしたってレンタカーを借りるよりよっぽど安い(ガソリンだって入れなくていい)。とんでもなくありがたいサービスだ。それをいいことにうっかり調子に乗ったことがあった。コメリと散種荘は車で往復したら15分ほど、制限時間を超過する心配はない。普段に使うスーパー ハピア A-COOP白馬店にはひとつ不便を感じている。我が家の常備食ケンミンの焼きビーフンを置いていない。コメリからの帰り道にイオン系のスーパーがある。せっかくだからとまとめ買いにちゃっかり立ち寄った。「KOMERI」と鮮やかに大書されたこの軽トラで颯爽と乗りつける。どこから見てもコメリの店員でない私たちが下り立ち、他のお客さんがギョッとする。尾身茂 新型コロナウィルス対策分科会会長がトーマス・バッハIOC会長を「コモンセンス(常識)」の観点から叱責したことを持ち出すまでもない。「いい大人が…」と気づいた途端に恥ずかしくなり、大急ぎでケンミンの焼きビーフンを抱えてそそくさと立ち去った。

脚立がどうしたって必要

「夏休みの宿題」である雪がこいの塗装作業が終わった。だけれども、視界を確保したいから雪が降らない季節にそれらすべてを取りつけはしない。それならそうとして、雪がこい板を保管するスペースが潤沢にあるわけでもない。いきおい視界に関わらない部分に限っては雪がこいを最上段まで設置することにする。私たちの身長ではどうにも太刀打ちできないことは一目瞭然だ。脚立がどうしたって必要になる。庭に樹も植えられたことだし、ことこれに限ることもなく、今後も脚立がどうしたって必要なのだ。新たに物置もできたし、脚立の購入を躊躇する理由はない。しかしあんな大きなモノを抱えて歩いて帰ってくるわけにはいかないし、だからといってレンタカーに載るわけもない。心配することはない、コメリが軽トラックを貸してくれる。

2×4×6の角材2本はキットに含まれていません

昨冬の経験から、もうひとつ薪棚をこしらえることにし、シンプルな鉄製組立式ラックを注文した。しかしこの棚の基本となる底部は自身で調達することになっていて、このキットには含まれていない。2×4×6の角材2本だ。2x4とはツーバイフォーのことで、2インチ(50.8㎜)x4インチ(101.6㎜)の角材という意味だが、乾燥段階の収縮などから1.5インチ(38mm)x3.5インチ(89mm)程度のサイズで規格化されている。最後の6とは6フィート(約1820mm)。規格品だからホームセンターであるコメリには1本458円でどっさり並んでいる。これだって2本だけ買い求めたあとに脇に抱えて歩いて帰って、(帽子をかぶってマスクをしているから余計に)中核派と勘違いされても困るし、だからといってレンタカーに載せるのも大変だ。しかし心配することはない、コメリが軽トラックを貸してくれる。

Drive My Car

こちらでは当然のことホームセンターの使用頻度が高くなる。しかし自動車を所有していれば万事解決というわけでもない。大きめの脚立や1820mmの角材を持ち帰ることだってある。コメリの軽トラ60分無料貸出は無敵のサービスだ。軽トラックに乗ったことがなかったつれあいは、なぜか助手席でテンションが上がっていた。脚立や角材を買い揃え目的を達した翌日、なんだか弾んだ心持ちを想起して「我らに愛車がまた一台増えたな」などと冗談を言い合って散歩をしていた。その私たちの目の前を、見覚えのある白地に赤い字が流れる車が軽快に走りすぎていく。くだんのコメリの軽トラックであった。余計に嬉しくなった。あちらにもこちらにも私たちには愛車がある。どうにかなるもんである。だからといってあの車でこっそりスーパーに行くことは今後はすまい。ああ、もうすぐ隠居の身。Drive My Carなのである。

投稿者

sanshu

1964年5月、東京は隅田川の東側ほとりに生まれる。何度か転宅するが、南下しながらいつだって隅田川の東側ほとり、現在は深川に居を構える。「四捨五入したら60歳」を機に、「今日の隠居像」を確立するべく修行を始め、2020年夏、フライングして「定年退職」を果たし白馬に念願の別宅「散種荘」を構える。ヌケがよくカッコいい「隠居」とは? 日々、書き散らしながら模索が続く。 そんな徒然をご覧くださるのであれば、トップにある「もうすぐ隠居の身」というロゴをクリックしてみてください。加えて、ホーム画面の青地に白抜き「What am I trying to be?」をクリックするとアーカイブページにも飛べます。また、公開を希望されないコメントを寄せてくださる場合、「非公開希望」とご明記ください。

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