隠居たるもの、流れる土砂に震え上がる。熱海の土石流のニュース映像を見るたびにやるせない心持ちになる。予期せず命を落とすことを想像するのも恐ろしいが、愛着の染みた住まいが一瞬にして根こそぎなくなるというのも果たしてどんな感じなのだろうか。またしても7月上旬だ。昨年2020年は7月3日から熊本で雨が降り出した。記憶に新しい「令和2年7月豪雨」。熊本の人吉や大分の山間が豪雨に呑まれ、九州のほか中部地方や中国・四国でも被害が相次ぎ、80人以上が亡くなった。ここ数年、常にこの時期に甚大な豪雨災害が襲来する。調べてみると、朝日新聞にそのまんまの記事があった。

https://news.yahoo.co.jp/articles/2eadc45f18f2ea7a2b131e383118424bc598d823

「50年に一度の雨」が4年も連続で襲来する

NHKのアナウンサーが「これまでに経験したことのない雨」、「50年に一度の雨」と7月に連呼する。「50年に一度なのに毎年やってくるというのはこれいかに?」なんて、少し忌々しく思いながらじっとニュースを見ていたわけだけれども、この5年を想い起こすために列記してみよう。2017年7月5日の福岡・大分両県で約40人が犠牲になった九州北部豪雨。18年の西日本豪雨は6日ごろから、岡山や広島、愛媛各県で大雨が続き、全国で250人以上もの死者を出すに至った。19年は九州南部で大雨、鹿児島県で2人が犠牲に。2020年は冒頭でも触れた「令和2年7月豪雨」である。なのに生々しい爪痕が残る直後の7月21日から、華々しく「Go To トラベルキャンペーン」が開始されたことも記憶に新しい。そして今年2021年の7月、東海地方に大雨が降り続き熱海に土石流が起きた。8日16時34分現在、死亡が確認されているのは7人で、いまだに安否が不明な人も22人にのぼる。今も広島など西日本の瀬戸内側で大雨が降り続く。

「気象庁によると、大雨になりやすい理由が重なるためだ。」

朝日新聞の記事にこう記されていた。「大雨をもたらす積乱雲は、上空の大気が不安定なときに発達しやすい。梅雨前半の6月は中国南部で雨が活発に降り、このとき生まれる気流の影響で、日本上空は比較的大気が安定しやすい期間になる。ところが、7月に近づくと梅雨前線の北上で中国での大雨の地域も北上する。この結果、日本上空の大気も徐々に不安定になり、積乱雲が発達して大雨になりやすくなる。また、大雨の直接の原因になるのは、東シナ海などから地表付近に流れ込む、多量の水蒸気だ。水蒸気が流れ込みやすい地域は、6月には日本の南方にあたるが、梅雨前線とともに徐々に北上する。7月上旬にかけて九州の南沖合周辺まで水蒸気が集中する地域が北上してくる。こうして、7月上旬には特に西日本を中心に、大雨になりやすい気象条件が重なる傾向がある。」なるほど。

気候変動に関する視点がそこには欠落していないか

しかし、それだけではここ数年の「これまでに経験したことのないような雨」の説明にはなっていない。ここ数年どうして「これまでに経験したことがないような雨」量になってしまったのか。そんなことは火を見るよりも明らかだ。温暖化の影響で水蒸気の量が単純に増えているのだろう。気候が変動しているのだ。テレビニュースは熱海の土石流の被害を甚大化させた盛り土の話にご執心である。投棄を重ね山を壊した責任は追求されてしかるべきだが、だからといって根本原因を疎かにしてもいけない。あんなに雨が降らなければ、土石流は起きなかったのだ。来年の7月上旬にだっていつものように「50年に一度の雨」はやってくる。このまま気候変動が進むと「200年に一度の雨」が毎年やってくる。少しでも気候変動のスピードを遅くする抜本的な試みを一刻も早く始めなければならない。だから小泉進次郎環境相、出番じゃありませんか?

「おぼろげながら浮かんできたんです。『46』という数字が」

「2030年までに温暖化ガスの排出を2013年度比46%削減する」とこの国は宣言したわけだが、担当大臣である小泉進次郎セクシー環境相はその根拠を「おぼろげながら浮かんできたんです。『46』という数字が」と説明する。そりゃああなたの選挙区である横須賀の市外局番が「046」だから、「46」という数字がおぼろげに浮かんできちゃったんだろうとも推察するが、あのガースー総理からしたってそれでは困っちゃうだろう。そんな野心的な数値を表明しているくせに、ヨーロッパから「石炭火力発電所の輸出をいまだ積極的にしている」と非難されると「日本の石炭火力発電所は高い技術力で燃焼効率がいいから問題ない」と素っ頓狂な返答をするのもいかがなものか。「化石燃料をいかに燃やさない社会を作るか」ポイントはここにあるのだ。そもそも地球にとって、寄生虫たる人間がどうなろうが知ったことではない。メロン坊やが10歳になる2030年までたったの9年しかない。先送りできる余地はとっくのとうに使い果たしている。待ったなしなんだ、進次郎セクシー環境相…。

結局のところ「レジ袋有料化」だけ

今のところ、進次郎セクシー環境相の実績は2020年7月1日「レジ袋有料化」の法制化だけだ。しかしそれすら環境省環境再生・資源循環局総務課リサイクル推進室の「レジ袋有料化について」(総務省公害等調整委員会機関誌「ちょうせい」第101号 令和2年5月)によると、「日本から毎年排出される廃プラスチックのうち、レジ袋が占める割合は2%程度と言われており、プラスチックごみ全体の量から見ればごく僅かである」そうで、レジ袋を有料にして、たとえゼロにまで削減しても地球環境の改善にほとんど効果がないことを認めている。どうだろう、少しは根本的な仕事をしてみたらいかがか。

しかし、ワクチンの供給量が足りていないことを2ヶ月前に知っていたのに、「職域摂取で過剰に申請する民間企業」を非難して東京都議選が終わるまで黙ってシレッとしていた河野太郎新型コロナウィルスワクチン接種担当大臣を持ち出すまでもなく、心のないこの人たちになにか期待してもねえ…。どうやら東京オリンピックは「新型コロナウィルスに打ち勝った証」をなにひとつ示すこともなく、パンデミック禍・緊急事態宣言下で開催する無惨な大会になりそうだ。それはさしずめ、大雨が降っている最中に山上にせっせと土を運んで盛るようなものだ。ああ、もうすぐ隠居の身。◯◯につける薬はない。

投稿者

sanshu

1964年5月、東京は隅田川の東側ほとりに生まれる。何度か転宅するが、南下しながらいつだって隅田川の東側ほとり、現在は深川に居を構える。「四捨五入したら60歳」を機に、「今日の隠居像」を確立するべく修行を始め、2020年夏、フライングして「定年退職」を果たし白馬に念願の別宅「散種荘」を構える。ヌケがよくカッコいい「隠居」とは? 日々、書き散らしながら模索が続く。 そんな徒然をご覧くださるのであれば、トップにある「もうすぐ隠居の身」というロゴをクリックしてみてください。加えて、ホーム画面の青地に白抜き「What am I trying to be?」をクリックするとアーカイブページにも飛べます。また、公開を希望されないコメントを寄せてくださる場合、「非公開希望」とご明記ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です