隠居たるもの、無料を確かめトライする。このブログも始めてから4年半、今回をもって479段目となる。したためることが容易でないときもあるわけで、ならば道楽で続けていることなんだしもう少しいい加減にしたら良さそうなところを、どうにも性分が「お気楽」にできていないからか、唸りつつPCの前に座っていることも多々あった。2ヶ月前の8月に大学時代の友だちと食事していたとき、「君のブログにこそChat GPTを試してみたら面白いんじゃない?」と言われたことを思い出す。するとなるとChat GPTがいかほどのものか興味は津々と湧くわけで、無料トライアル版もあるというし2023年10月27日にダウンロード、AIが「もうすぐ隠居の身」を省察できるのかどうか試してみたのである。

Chat GPTの始め方

勤め人のままであれば仕事で使うかどうかは別に接点がどこかであったと思うが、その勤めもとっくにやめてしまっている。なんとなくニュースで目にしているからうっすら見当はつくんだけど、簡単に見つかったChat GPTの公式サイトは英語のみでいささか不安、そうこうしているうちAI suiteというところのコラムにたどりつく。それに従うとアカウントの作成はいたって簡単、ログインしたらそこから先は日本語でやり取りできるようになった。

「もうすぐ隠居の身」というブログを知ってる?

まず「『もうすぐ隠居の身』というブログを知ってる?」とChat GPTに聞いてみた。世界中の情報を網羅し学習しているという触れ込みなのだし、知っていたら話は早い。続けざまに「『もうすぐ隠居の身』テイストで一本、秋の深川の散歩をテーマに書いてごらん」とやってみればいい。しかし返答はけんもほろろでつれなかった。「申し訳ありません、私の知識は2022年1月までのもので、特定のブログやウェブサイトについての情報は含まれていません。したがって、「もうすぐ隠居の身」というブログについての情報を提供することはできません。」

隠居の定義について

こちらから「もうすぐ隠居の身」テイストを学習させる術はなく、つまり「Chat GPTを使って横着する」という野望はあっさりと潰えたのだ。しかしせっかくアカウントを取得したのだから、使い道はないかと探ってみる。重ねて「隠居の定義について」と聞いてみた。瞬く間に以下に引用する返答が届く。

「『隠居』という言葉は、一般的には以下のように定義されます。1.退職または引退:隠居は、一般的に仕事や職業からの退職を指します。人々が年金を受け取り、労働力から離れる際に使う言葉でもあります。この意味での隠居は、通常、一定の年齢に達したり、労働力から離れる選択をする際に関連します。2.地位や社会的活動からの撤退:隠居は、地位や社会的な活動からの撤退を指すこともあります。たとえば、政治家やビジネスリーダーが公の活動から退いて、静かな生活を楽しむ場合、これは「隠居」と言われることがあります。3.余生を楽しむ:隠居者は、退職後に余生を楽しむことが多いとされます。これは、趣味や旅行、家族との時間を重視することが含まれることがあります。4.仏教や道教の宗教的実践:隠居は、一部の宗教的実践で重要な概念です。たとえば、仏教や道教において、修行者が社会的な活動から離れ、静かな場所で精神的な修行を行うことを指すことがあります。

隠居に関する文脈や文化によって、その意味や実践が異なることがあります。一般的に、隠居は個人が静かな生活を楽しむための選択として理解されていますが、具体的な定義や実践は多様です。」

驚くほどに見事で舌を巻いた。

「隠居らしい深川の散歩の仕方:秋」

文章を綴ることは確かに得意なようだから、この際「文体」についてはわきに置き、「『隠居らしい深川の散歩の仕方:秋』というテーマでコラムを書いて」と課題を出してみる。お安い御用とばかりに再びすぐさま原稿は届く。

「秋の深川は、その穏やかな気候と美しい自然が誘う、隠居らしい散歩の季節です。深川の歴史的な街並みと静けさを楽しむための方法は数多くあります。以下では、隠居らしい深川の秋の散歩の仕方について探ってみましょう。1. 紅葉の名所を訪れる:深川には紅葉が美しい公園や庭園が点在しています。秋には紅葉が見頃を迎え、その美しさは目を見張るものです。特に、深川川沿いや青砥公園、京葉緑地などの場所で紅葉を楽しむことができます。2. お寺や神社巡り:深川には多くの歴史的なお寺や神社があり…(後略)」

全文を引用するまでもない。何事かを語っているようで何も語っていない。しかも青砥公園とか京葉緑地とか、「どこが深川?」という嘘もまぎれている。学生がしたり顔で安易に仕上げた卒業論文のようだ。迷うこともない、落第である。

The Beatles「青盤」

「無料トライアル版のグレードはGPT3.5だが、有料版であるGPT4はずっと優れている」という記事を見つけた。「安倍晋三と坂本龍馬が現代に出会ったら」と設定したアホくさい場面の脚本を双方に書かせ比較した上で、「とんでもなく進化しているGPT4!」と断じているのだが、その肝心の文章はというと、よりチャラチャラとこざかしくなっただけでかえって腹立たしい。そんな試行錯誤をしているとき、ディスクユニオンから「The Beatlesの新しいレコードを買わない?」とメールが入る。ジョン・レノンが遺した「NOW AND THEN」という曲を、40年を経てポール・マッカートニーとリンゴ・スターが仕上げ、なんと新曲として発売されるのだそうだ。加えて、その曲も収録し、あらためてミックスされた「青盤」も発売される。だから心して買え!とのお達しだ。信心深い親父たちの財布はいつだって狙われているのだ。Chat GPTに「The Beatles「青盤」について教えて」と聞いてみる。

「The Beatles 1967-1970 (Blue Album):このアルバムは通常「青盤」と呼ばれ、1967年から1970年までのビートルズの楽曲を収録した2枚組のコンピレーション・アルバムです。ビートルズがサージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンドからアビー・ロードまでの期間にリリースした曲が含まれており、その時期におけるバンドの音楽の進化が聴けます。アルバムには「Strawberry Fields Forever」「Hey Jude」「Let It Be」「Come Together」など、多くのビートルズのクラシック曲が収録されています。」最新のニュースに対応していないことには留意しつつ、調べ物に限っては横着ができる、そういうことのようだ。

先日、近所の若い友だちがジャケットがボロボロになった青盤を持ってきた。「このあいだは酔っ払っていて…。『さしあげる』と言ったんですが、『預ける』という形でいいですか?生まれて初めて買ったレコードプレイヤーで、最初に針を落としたのが、実家にあったこのレコードなんです。自分がレコードプレイヤーをあらためて買うことはもうないだろうから『返してほしい』とはならないと思うんですが、『自分のもの』のままであってほしいというか…」私は喜んで「預かる」ことにした。おそらくこのボロボロのアナログの「青盤」は、かけがえもなく深くていい音を出すに違いない。ああ、もうすぐ隠居の身。えてしてそんなものだ。

投稿者

sanshu

1964年5月、東京は隅田川の東側ほとりに生まれる。何度か転宅するが、南下しながらいつだって隅田川の東側ほとり、現在は深川に居を構える。「四捨五入したら60歳」を機に、「今日の隠居像」を確立するべく修行を始め、2020年夏、フライングして「定年退職」を果たし白馬に念願の別宅「散種荘」を構える。ヌケがよくカッコいい「隠居」とは? 日々、書き散らしながら模索が続く。 そんな徒然をご覧くださるのであれば、トップにある「もうすぐ隠居の身」というロゴをクリックしてみてください。加えて、ホーム画面の青地に白抜き「What am I trying to be?」をクリックするとアーカイブページにも飛べます。また、公開を希望されないコメントを寄せてくださる場合、「非公開希望」とご明記ください。

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