隠居たるもの、そぼ降る雨に憂いをいだく。昨日は2020年4月1日。例年であれば、不安を抱えながらも初々しく溌剌とオフィス街にあふれる新社会人を眺めながら、いまだ隠居にたどり着いていない我が身、「ああ、今日から新年度であったか」と微笑ましく出社する日である。ところが、朝からずっと春とは思えない冷たい雨が降る。それに加えて、先週末から在宅勤務となったもんで、緊急のメールを見落とさないようパソコンとiPadを前にしてずっと庵の書斎にこもっている。そこにニュースが飛び込んできた。「安倍首相、各世帯に布製マスク二枚配布」。民間はいろいろなことを自粛していてエイプリルフール(四月馬鹿)のおふざけもはばかっている。「さすが総理である、そんな雰囲気を和らげようとお茶目にふざけているのだな」と必死に感心しようとしたものの、どうやら「大々的な新型コロナ対策」とマスクをしながら堂々と胸を張っている。志村けんの訃報で想い出したドリフターズの数々のギャグ、いかりや長介が存命であれば「ダメだこりゃ!」と一喝するところであろう。

出展:https://mobile.twitter.com/punxjk/status/1245347220259393537

一気呵成に、これまでにない発想で、思い切った措置を講じる

新型コロナウイルス感染症に関する特別措置法の改正案成立を受けた3月14日土曜日午後6時開始の記者会見で、安倍晋三総理大臣はいつものように具体策をなにも示さなかったものの、これまたいつものように「現在は、あくまで感染拡大の防止が最優先でありますが、その後には、日本経済を再び確かな成長軌道へと戻し、皆さんの活気あふれる笑顔を取り戻すため、一気呵成(いっきかせい)に、これまでにない発想で、思い切った措置を講じてまいります。」と誇ってみせた。あれから18日も経って「一気呵成に、これまでにない発想で、思いきっ」て出された対策が「各世帯に布製マスク二枚配布」である。ああでもないこうでもないと火事場泥棒のように支持者に税金を還流させようとした「お肉券」や「お魚券」を断念したあげくに「各世帯に布製マスク二枚配布」である。逆説的な意味であまりにも大胆だ。しかも発送するのは再来週だって。なんかマスクをかけ始めたと思ったらそういうことだったんだ。配送料を含めて数百億の税金が投入されるそうだが、今までを思うと、お友だちのところに布製マスクをこさえさせてそこにお金を落とすための一手なのだろうかとも勘ぐってしまう。また、誰もが巣篭もりしている今日この頃、配送を担う人たちが背負わされているプレッシャーは尋常なものではない。昨日の午前中に受取り指定をしていた宅急便が届いたのは、ようやく夕方になってからのことだった。そんなところに5000万軒のマスク配送が加わる。まったくもってはた迷惑な話だ。FBで下記のごとく友人から教示された。マスコミは断片的にしか報道しない。

オーバーシュートとロックダウン

3月24日火曜日、世界的世論に押されて東京オリンピックの延期が決定する。それまで威丈高に「予定通りに開催する」と言い続けていた方々が、ものの見事に手のひらをひっくり返す。その最たる御仁、森喜朗東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長なんか「『最初の通り、やるんだ』というほど我々は愚かではない」と平然とのたまうからそれはそれは唖然としたものだ。

小池百合子東京都知事もその中の一人だ。きちんとコントロールされていたはずの東京は、オリンピック延期が決まった途端になぜか感染者数もわかりやすく激増し、「オーバーシュートの重大局面」になっていた。たたみかけられた会見でこの間の差異についての明快な説明は一切なく、7月の都知事選挙を控え自身に注目を集めたいからなのかカタカナで語られる危機感ばかりが煽られて、その一方にあるはずの自粛した先の見通しや要請に伴って生活がたちどころに困窮する人たちへの補償は何も語られない。同じ穴のムジナである。実のところそんなこったろうと察していたし、概ね要請されたような生活を気をつけながら送っていたから大きく困るようなこともないし、スーパーの陳列棚から商品がなくなることだって織り込み済みだし、ただ心配なのは友だちといってもいい馴染みの飲食店を営みそこで働く人たちのことばかりであった。そんなところに発表された「大々的な新型コロナ対策」が、「一世帯に二枚のマスク」なのである。

「お・も・て・な・し」してもらう場を確保するために

飲食業界は壊滅的な打撃を被るだろう。東京の店どれだけが生き残れるだろうか。まるで名指しするかのように「宴会をするな(自分の奥さんだけはいいみたい)」「夜に飲食店に行くな」と掛け声かけておきながら、当のお店側には助け舟を一切出さない。1年後に延期されたオリンピックが予定通りに開催されたとしても、海外からのお客さんを万遍なく「お・も・て・な・し」できるだけの店舗数を保つことはすでにできなくなっているに違いない。うちは50代後半ふたりの侘び住居である。この局面で外出の機会も減っているからマスクはいらない。だから、その分の税金を彼らに回してくれないだろうか。そして「一気呵成に」補償対策をまとめるべきだろう。でないと、こんな渦中にあっても、馴染みの友だちたちが営み今も家賃などの日銭を稼ぐために開かざるをえない飲食店へのパトロールを、私は再開しなければならなくなる。なぜか?死んだ親父に「困っている友だちは助けろ」と骨の髄まで叩きこまれているからさ。

早かった桜の季節が終わろうとしている。あなたたちが疑問の余地なく無能なことはよくわかった。だけどひとつだけ私の言い分も聞き入れてほしい。ああ、もうすぐ隠居の身。とりあえずマスクはいらねえよ。

投稿者

sanshu

1964年5月、東京は隅田川の東側ほとりに生まれる。何度か転宅するが、南下しながらいつだって隅田川の東側ほとり、現在は深川に居を構える。「四捨五入したら60歳」を機に、「今日の隠居像」を確立するべく修行を始め、2020年夏、フライングして「定年退職」を果たし白馬に念願の別宅「散種荘」を構える。ヌケがよくカッコいい「隠居」とは? 日々、書き散らしながら模索が続く。 そんな徒然をご覧くださるのであれば、トップにある「もうすぐ隠居の身」というロゴをクリックしてみてください。加えて、ホーム画面の青地に白抜き「What am I trying to be?」をクリックするとアーカイブページにも飛べます。また、公開を希望されないコメントを寄せてくださる場合、「非公開希望」とご明記ください。

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