隠居たるもの、樹木の宇宙に心が躍る。盆栽などは、その最もわかりやすい例だろうか。ハヤカワ文庫 NF「樹木たちの知られざる生活 森林管理官が聴いた森の声」https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000014064/を読み終えた。ドイツのペーター・ヴォールレーベンさんが著したベストセラーだ。単行本で並んでいたときから気にはなっていたのだが、早々に文庫になっていたので喜び勇んで手に取った。このところの早川書房の仕事ぶりは、とても素早く感心させられる。

木はコミュニケーションもしていれば、友情も育む

樹木の賢さに驚き、感じ入るばかりだった。彼らは地中に張り巡らせた根を媒介に、弱った仲間を助けるため栄養を分け合ったり、警報ガスを風に乗せて、外敵が迫っていることを仲間に知らせたりするそうだ。私たちからすれば気が遠くなるような何百年という寿命を生きる彼らは、その年月に耐えられるよう子孫をじっくり我慢強く育成し、動物を含めた森全体に目を配る。共生しなければ、自分たちの繁栄がないことを知っているからだ。エピソードごとに「へえ」といちいち感心する。それに比べ、人間のなんと愚かしいことか。そして、樹木は二酸化炭素を吸収してくれる。

トゥーンベリ先輩

9月23日、国連気候行動サミットにおけるグレタ・トゥーンベリさん怒りのスピーチに心を揺さぶられた。私の友人もそうだったのだろう、フェイスブックで彼女のことを「トゥーンベリ先輩」と何回か話題にする。どこか可愛らしく親しみを抱くとともに、行動する彼女への敬意がこもる素晴らしい呼称だと思う。他の友人からは、こんなYouTubeも紹介された。まずは耳を傾けてみよう。やはり樹木なのだ。

朝日新聞はこう記しているが

「サミットでは、77カ国が温室効果ガスを2050年に実質排出ゼロにすると誓う一方、排出量で世界最大の中国や3位のインドは具体的な目標を示さなかった。2位の米国、5位の日本には登壇機会すら設けられなかった。」昨日の電子版から引用している。この小さな国は、排出量で世界5位なのである(ちなみに4位はロシア)。加えて、78カ国目にならなかった理由について「ふん!」とばかりに恨みがましく表現したのだろうか。こうした肝心なニュースに関しては、もはやこの国の主要マスコミは正しく報じるつもりがないから、他をあたってみる。

9月18日、「グテーレス国連事務総長が今回のサミットで、気候変動対策に不熱心な主要国リーダーたちの発言をブロックする」とフィナンシャル・タイムズ紙。おつむを疑うような与太話や言い訳ばかりを並べ立て、真剣に取り組む人たちの邪魔しかしないからだろう。また同紙は、石炭火力発電所の建設計画を有する上位15カ国を並べ、先進国で唯一日本だけがその中に含まれていることを示した上で、ブロックされる国の筆頭として日本を挙げている。これが「登壇機会すら設けられなかった」真相なのだ。

九州 九重連山

クールだぜ、トゥーンベリ先輩

昨日の朝日新聞電子版からもうひとつ引用する。「グレタさんについては、『大人が裏で操っている』などの批判が寄せられている。この点について司会者から問われると、グレタさんは『いらだたしいけど、いつだってあら探しをする人たちはいる。でっち上げをする人だっているし、それに対して何かをすることはできない。仮にうわさ話や陰謀論に時間をかけて答えたところで、そういうことは続くでしょう』と流した。」カッコいいじゃないか。

年端のいかない女性アイドルが、ミニスカートをフリフリさせながら歌い踊る姿にはデレデレして「大人の」浅ましい欲情をむき出しにするくせに、同じ年恰好の少女に正面から正論を突きつけられると慌てて「子供みたい」に話をすり替えようとするから果てしなく情けない。彼女がアスペルガーであることだって一体なんの関係があるのだろうか。彼女の言動は、実もなければ軽薄なだけのコメントを披露して世界中の口をアングリさせたどこかの大臣とは違い、熱意と行動が伴っている。セクシーではないけれど、とってもクールだ。

ひるがえってエネルギーについて考える

別府 海地獄

この国は、海に囲まれていて風力発電に大きな活路を見出せる。そして、各地にこれだけの温泉があり、地熱発電にだって無限の可能性が広がっている。各国が羨む環境に恵まれているのだ。なのに、それを差し置いて、CO2削減に向けて選択すべきは原子力発電だというのである。あれだけの事故を起こした後も…。しかし、本当の理由がどこにあるかを、このところの関西電力がはっきり白日のもとにさらしてくれたじゃないか。大事なのは、「命」ではなくて、どなたかの懐に入る「金」なのだ。それを守りたいがために、「再生可能エネルギー、いける!」という雰囲気を微塵も作らないよう一生懸命に努力しているのだろう。このままでいいのだろうか?私はトゥーンベリ先輩とともに歩みたい。できることはないかと目を配ろう。大事にされる隠居になりたいのだ。ああ、もうすぐ隠居の身。今ここで果たすべきいささかの責任がある。

投稿者

sanshu

1964年5月、東京は隅田川の東側ほとりに生まれる。何度か転宅するが、南下しながらいつだって隅田川の東側ほとり、現在は深川に居を構える。「四捨五入したら60歳」を機に、「今日の隠居像」を確立するべく修行を始め、2020年夏、フライングして「定年退職」を果たし白馬に念願の別宅「散種荘」を構える。ヌケがよくカッコいい「隠居」とは? 日々、書き散らしながら模索が続く。 そんな徒然をご覧くださるのであれば、トップにある「もうすぐ隠居の身」というロゴをクリックしてみてください。加えて、ホーム画面の青地に白抜き「What am I trying to be?」をクリックするとアーカイブページにも飛べます。また、公開を希望されないコメントを寄せてくださる場合、「非公開希望」とご明記ください。

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