隠居たるもの、越した年の数だけ指を折る。2019年もいよいよ押し迫った。我が庵も大掃除の大詰めである。大掃除とは大がかりな掃除のことだから、28日に歳末休みに入ってからというもの例年に変わりなく大変なことになっている。家具を動かす、ホコリをかき出す、何もかもみがく、床にワックスを塗る。明日の元旦にはすがすがしい掃除痛が身体のはしばしに顔を出しているだろう。すでに4日も勤しんでいるから、実のところもう怪しいのではあるが…。

「Everything is in its right place.」ふたたび

年初にその年のテーマ、というかキャッチフレーズのようなものを決めていて、今年のテーマは「Everything is in its right place.」だったと紹介したことがあった。レディオヘッドの名盤「KID A」からの曲名(Everything in its right place)を拝借してちょっともじったものである。「このデタラメな世界の中で、少なくとも自分は『すべてはそのあるべき場所に』整理するよう努力しよう」という所信表明のようなものだった。自分で決めておきながら早々に忘れてしまい、覚えていない年も多いのだけど、今年に関しては、驚くほどのデタラメがまかり通ったがゆえに、ありがたくもテーマに沿うことができた。

体裁のいい言葉に踊らされないために

私がこの省察を始めた5月、元号が変わるのに合わせて世間は「新しい時代」と浮かれ始めた。その内実はいかばかりか。「令和おじさん」と呼ばれ、ご祝儀がごとく人気がかさ上げされて、まんざらでもないのか似合わない笑顔を悪党面にはりつけていた御仁は、「反社会的勢力の定義はない」とその馬脚を現した。自分で作らせておいて、風向きが悪くなると「そんな報告書は受けとらない。受け取っていないのだから報告書はそもそも存在しない。」などと顎が外れそうな言い逃れをうそぶく威張りんぼは、あいも変わらずおぞましい差別感情を撒き散らす。厚顔無恥な腰巾着は、そのお調子者ぶりを発揮して、うっかり「入試改革」とやらのデタラメさを白日の下にさらしてご破算にしてくれた。私が暮らす地から選出された先生は、こっそり賭博場の口利きをして自分の懐だけを暖かくしている。偉い人の友だちはレイプしても逮捕されず、致し方なく勇気を持って訴えた被害女性の民事勝訴の甲斐あって、英国BBCあたりで「法治国家とは思えない」とトップニュースとなった。控訴すると息巻く鬼畜の言い分は聞くに耐えない。当のいちばん偉い人は、私たちが納めた上納金をあてて仲間内で豪勢な花見をしていた。そして、口を開けば嘘しかつかない。Everything is in its right place.目白押しである。これが「新しい時代」か?

今年最後の忘年会は「どん底」で

昨晩、本年最後の外飲みに出かけた。最後の店は、万感の思いを込めて、新宿三丁目「どん底」である。すべてが忘年会と銘打たれていたわけではないが、今年は年忘れのような飲み会が多かった。お声がかかるのはまったくもってありがたいことだ。「AI美空ひばり」が話題にのぼった。先日、NHKの朝の番組でも「AI美空ひばり」が紅白歌合戦に出演し新曲を披露するとはしゃいでいた。紅白歌合戦に関心がなくなって久しく、それでもちらっとチャンネルを合わせたりはするものだが、今年からすっぱりやめることに決めた。上手な人が、じっくりいい歌を聴かせてくれると思うからいささかでも食指は動くのだけれども、このところは演出が過ぎる一方で興が醒める。そして意味もなく「新しい時代」とみんなでトランスして踊るんだろ?御免こうむる。大掃除を終えて、竹の湯でさっぱり今年の汚れを落として、届いているもつ鍋をつれあいとつついて、年越し蕎麦の代わりに締めのちゃんぽん麺をすすりながら、古今亭志ん朝のDVDでも観るさ。大晦日ゆかりの噺、「芝浜」と「文七元結」の豪華二本立て。DVDかもしれないが、少なくとも“本物”だし、正気を保っていたいもの。

もう今年も終わる。ああ、もうすぐ隠居の身。みなさん、良いお年を。

投稿者

sanshu

1964年5月、東京は隅田川の東側ほとりに生まれる。何度か転宅するが、南下しながらいつだって隅田川の東側ほとり、現在は深川に居を構える。「四捨五入したら60歳」を機に、「今日の隠居像」を確立するべく修行を始め、2020年夏、フライングして「定年退職」を果たし白馬に念願の別宅「散種荘」を構える。ヌケがよくカッコいい「隠居」とは? 日々、書き散らしながら模索が続く。 そんな徒然をご覧くださるのであれば、トップにある「もうすぐ隠居の身」というロゴをクリックしてみてください。加えて、ホーム画面の青地に白抜き「What am I trying to be?」をクリックするとアーカイブページにも飛べます。また、公開を希望されないコメントを寄せてくださる場合、「非公開希望」とご明記ください。

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