隠居たるもの、冬を迎えて心が躍る。なんてったってスノーボーダーだからだ。11月後半にドカンといちど雪が降り、ここ白馬は色めきたった。各スキー場も喜び勇んで11月中にオープン(もちろん上の方だけ)、気候変動と新型コロナに痛めつけられたここ数年のうさを晴らすかのように盛り上がる。2021年12月10日15時15分、長野駅から高速バスに乗った私たちは、2週間ぶりに白馬に降り立った。まず向かう先はFULLMARKS白馬店。つれあいは北欧系アウトドアギアを扱うこのショップに2021-21モデルのウェアを予約していた。ようやく届いたと連絡を受けていたのだ。

https://www.full-marks.com/storeblog/item/hakuba

Norrønaでジャケットを新調する

つれあいはFULLMARKSが扱うノルウェーのブランド Norrønaのジャケットを新調した。昨年にあらためた私のpatagoniaのイエローに対抗して、目の覚めるようなサックスブルーだ。初老にさしかかった私たちにはとにかく明るい色の方がいい。それにしてもこのショップのスタッフたちはいつだって屈託がなくて気持ちがいい。「ホスピタリティ」がどうだとかこねくりまわして「モチベーション」を武装しないからだろう。「山遊びが好きで、だから山の中で、同じく山遊びが好きな人たちを相手に、山遊びをするために仕事をする」というシンプルさが滲み出ていて健康的で「自由」だ。こちらは「接客されている」と感じることがなく、冗談を交えながら若い友人にいろいろと教えてもらっているという心持ちになる。この日も白馬を留守にしていた2週間のゲレンデ状況について面白おかしく教えてもらった。今度、ゆるくなってしまったゴーグルのゴムバンド、そこだけ交換できるか見てくれるという。

「白銀は招くよ!」

FULLMARKSから少し下りて、行きつけのスーパー A-COOP白馬店「ハピア」で食材を買い込む。いつもならこれで駅まで下りてタクシーを拾うところだが、今回はもう一軒だけアウトドアショップ「好日山荘」に立ち寄る。スノーシューをどうするか、ケリをつけておきたかった。雪に埋まった散種荘の庭やその周囲を歩き回りたいだけだから、オーバースペックなものは必要ない。西洋的スノーシューと日本的カンジキ、両者の強いところと弱いところを教えてもらい、浮力の強い適当なスノーシューをひとつ買い求めることにした。試してみて具合がよければ追加でもうひとつ揃えようと思う。そして店を出てふと山の方を振り返った16時38分のこと、赤みがかった空を背景に、白馬三山が神々しく白く輝いているではないか。トニー・ザイラーに言われるまでもない。白銀は招いている。

「Step ON」のブーツとビンディングも届く

開けて12月11日、私は荷物を待っている。ひと月半ほど前の省察「神保町フルコース、カレー・本屋・スノーボード用品店をハシゴした」から引用する。「スノーボードというのは、リフトに乗るときにボードから片足だけ固定を解く。降りてからまた固定し直す。そのためにいちいち腰を下ろす。そして両足を一本の板に固定したまま立ち上がる。この一連の動作をリフトから降りるたびにするものだから、それが初老にさしかかった者にはけっこうつらい。私が長年にわたって愛用するBurton(スノーボードの元祖)という米国メーカーが、近年ステップオン(立ったままパチっとはめられる)というシステムのブーツとビンディングを作っている。従前のものが相当にくたびれたところだし、次のシーズンに思い切って新調しようと計画していたのだ。」神保町のヴィクトリアで予約までして新調し、なんとか手に入って散種荘に配送する手配をしたまさしくその「Step ON」システム、ブーツの「アイオン」とビンディングの「ジェネシス」を待っているのである。午前中指定にしておいたのに(佐川急便ではよくあることで)届いたのは午後3時を過ぎた頃だったから待ちくたびれた。さあ、これで役者は揃った。

そしてスノーボードのメンテナンスをする

FULLMARKSの店長によると、週末である土日の朝、八方尾根スキー場のゴンドラの並び具合は尋常じゃないのだそうだ。上の方でしかまだ滑れず、そこまで運ぶ手段としてゴンドラしか動かしていないから(下の方のリフトは動かしていないし、ゴンドラを密にしないため定員乗車もさせていない)、雪に飢えたスキーヤー・スノーボーダーによって2時間にも及ぶ長蛇の列になるという。また、タクシーの運転手さん(70歳のこの方は若い頃に競技スキーをされていたそうで、気候変動のため孫たちが思う存分にウィンタースポーツができなくなっている現状を常に憂いている)から「ついこのあいだ土砂降りの雨が降って、かろうじて雪だった上の方もコンディションは良くない」という話も聞いた。だからこの土日にスキー場に出向くことは回避した。これをしたためている12月12日日曜日17時45分現在、外では冷たい雨が降っている。夜からみぞれに、そして雪に変わり、明日は一日中雪と予報されている。先ほど、スノーボードのワックスがけを終えたところだ。明日、ビンディングを完璧にセッティングしよう。そして明後日の火曜日、満を持してこの冬の初滑りに出かけるのだ。ああ、もうすぐ隠居の身。準備は万端整っている。

投稿者

sanshu

1964年5月、東京は隅田川の東側ほとりに生まれる。何度か転宅するが、南下しながらいつだって隅田川の東側ほとり、現在は深川に居を構える。「四捨五入したら60歳」を機に、「今日の隠居像」を確立するべく修行を始め、2020年夏、フライングして「定年退職」を果たし白馬に念願の別宅「散種荘」を構える。ヌケがよくカッコいい「隠居」とは? 日々、書き散らしながら模索が続く。 そんな徒然をご覧くださるのであれば、トップにある「もうすぐ隠居の身」というロゴをクリックしてみてください。加えて、ホーム画面の青地に白抜き「What am I trying to be?」をクリックするとアーカイブページにも飛べます。また、公開を希望されないコメントを寄せてくださる場合、「非公開希望」とご明記ください。

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