隠居たるもの、冬の準備に余念ない。つい5日ほど前まで「灼熱地獄」の熊本に身を置いていたわけだが、昨日からその身をまた白馬に移している。「ここ風が通らないからかぁ…」玄関土間スペースにしつらえた収納棚の下、それも隅の隅っこにしまっておいた私のスノーブーツを引っ張り出したつれあいが嘆く。うっすらカビがのっていたのだ。春先に手入れしたあと、完全に乾く前に片づけてしまったのだろう。「完全に乾かしてからしまう」あらためて教訓を得た。私はというと注文しておいた薪200kgが届くのを待っている。2021年10月15日からの今回の滞在は、冬支度が主眼なのだ。

去年と少々勝手が違う

「明日の夜から天気が崩れて気温も下がるようだし、これでようやく山の上も雪をかぶるんじゃなかろうかねえ」ご近所さんでもある馴染みのタクシー運転手さんが語る。ここ白馬も気温の高い日がしつこく続いていて、山の冠雪や紅葉が例年より遅れているそうだ。自動車を所有しない私たちは、白馬に到着するなり買い込んだ食料とともにタクシーを使う。そもそも台数が少ないところに頻度高く利用するものだから、自ずと同じ運転手さんに何度もあたり仲良くなる。中でもとりわけ朗らかでフレンドリーな今回の運転手さんは、以前に「そこがね、私んち」と通りがかりに散種荘にほど近い自身の住まいまで教えてくれた(おかげで私たちは運転手さんのお父さんまで知ることになる。家の手入れをされているのをお見受けしたからだ。仕事の合間に白馬の夕景色をアップする彼のInstagramをつれあいはフォローしている)。私たちにとって、タクシーの運転手さんは貴重な情報源である。確かに葉が色づくのが去年より遅れている気がする。昨年同時期に撮影した写真を確認してみると、高い山の上には雪がのっているし、その下あたりがすっかりと赤くなっていた。「薪ストーブに火を入れる:JOTUL F134」という省察には「本日10月19日の朝方の気温は4℃だった。冷気が降ってくる」という一文すらある。秋が秋らしく暮れていかないと、どうにも「大切にしていたものが知らないうちに盗まれた」ような口惜しい心持ちになる。

「薪活」とは「薪を調達する活動」のことをいう

白馬界隈の工事(道路の補修、電柱地下埋設、水道関係)は佳境を迎えている。雪が降り出す前にすべてを終えなければならないからだ。散種荘だって同様、すでに私たちは「薪活(薪ストーブのために薪を調達する活動)」を始めていた。といっても、自力で薪を作るというのはいきなりハードルが高すぎるから、「どのような薪をどこからいかほどで集めるか」それが活動の柱となる。まずもって材は広葉樹でなくてはならない。針葉樹はあっという間に燃え尽きヤニを出す。厳寒地で冬支度に出遅れると死活問題に発展するから、我が家の小ぶりな薪ストーブにくべられる短い薪調達計画を前もって策定し着々と購入計画を進める。実際「エース」として構想していた25cm「岩手の薪」は、ナラを指定したにもかかわらず材料の調達が十分でないからとサクラに変更を余儀なくされた。まずは期日指定で宅配される、ドラフト外れ一位指名の「エース」を受け取るところから始まる。クロネコヤマトの若い衆が薪棚のある裏までせっせと運んでくれた。キビキビしていて気持ちがいい。あとは私が薪棚に並べるだけだ。

焚きつけ用の木端は、アオゾラカグシキ會社の好意で乾燥が行き届いたものをたっぷりといただきすでに準備できている。残るは不ぞろいだけどもあらゆる局面で縦横に登板してほしい白馬ファーム(株)の薪である。秋の収穫に忙しい社長がまだ「ブルペンで肩を温めている」状態なので、仕方なしに白馬ファーム(株)がsnow peakに卸している長いやつをふたたば買い求めてノコギリで調整してとりあえずは間に合わす。想像してはいても、これがなんとも重労働だった。親友アポロ・クリードを死に追いやった宿敵ドラゴに相対するため、雪山で原始的な特訓に励むロッキー・バルボアになった気分だ(「ロッキー4/炎の友情」参照のこと)。明日は間違いなく筋肉痛になるだろう。とりわけてもお尻の両ほっぺが危ない…。小さなチェンソーを所有するかどうか、真剣に考えたい。つれあいは昨冬に燃やした薪の灰を、肥料として庭に撒いている。とにもかくにも、これで第一段階はひとまずクリアだ。

冬支度を滞りなく進める

本日その他に散種荘に届いたものである。火を扱うというのに昨冬は常備していなかった消化器、トイレやシンクに溜まった水を凍らせないための住宅用凍結防止剤「凍ランブルー」(11月になったら不在時に使用が必須)、コメリで在庫一掃のためか破格でセールしていた高圧洗浄機ケルヒャー(雪が降る前に外壁やウッドデッキをサッパリさせたい)。薪ストーブ用の着火剤が少なくなっていたことに注意が行き届いていなかったが、先ほどamazonに発注した。そして来る冬のリフトシーズンチケットはこれからだ(河岸を変えてこの冬は岩岳にしようと考えている)。先ほど、薪ストーブへのシーズン初火入れも済んだ。雨が降り出し、明日の夜は外気温が7℃を切るという。しかし準備万端ととのっているから大丈夫。ああ、もうすぐ隠居の身。一日ゆっくりヌクヌクしていようと思う。

投稿者

sanshu

1964年5月、東京は隅田川の東側ほとりに生まれる。何度か転宅するが、南下しながらいつだって隅田川の東側ほとり、現在は深川に居を構える。「四捨五入したら60歳」を機に、「今日の隠居像」を確立するべく修行を始め、2020年夏、フライングして「定年退職」を果たし白馬に念願の別宅「散種荘」を構える。ヌケがよくカッコいい「隠居」とは? 日々、書き散らしながら模索が続く。 そんな徒然をご覧くださるのであれば、トップにある「もうすぐ隠居の身」というロゴをクリックしてみてください。加えて、ホーム画面の青地に白抜き「What am I trying to be?」をクリックするとアーカイブページにも飛べます。また、公開を希望されないコメントを寄せてくださる場合、「非公開希望」とご明記ください。

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