隠居たるもの、日頃の行いに思いをいたす。昨晩2月13日、夜遅く東北地方に大きな地震があった。今のところ大きな被害は出てはいないようだが、東京もずいぶん揺れたと聞く。私はといえば2月9日以来は白馬におり、そんなことはつゆ知らずぐっすりと寝入っていた。今日もこちらは晴天だ。ずっと晴れている。それにしても、どうしてこんなに天気がいいんだろう。ここまで晴天が続くとなると、「この私たちが、どの方面に、一体全体どんな功徳を積んだというんだ?」と申し訳ない気持ちにすらなる。新型コロナ禍で右往左往していた白馬は、「とどのつまりは人口も少なく発生源の見当もついているから」という予想に違わず、どうやら落ち着きを取り戻している。

晴天の「HAKUBA MOUNTAIN HARBOR」

10日は朝から気持ちのいい晴天だったから、またとない景観を拝みに、朝から岩岳スノーフィールドを再訪した。今シーズン2度目だ。風もなく穏やか、ならばランチはオープンエアで解放感に浸りたい。頂上付近に作られた名所「HAKUBA MOUNTAIN HARBOR」で、併設されたCITY BAKERY CAFEのクロワッサンサンドを、五竜岳・唐松岳・白馬鑓ヶ岳・杓子岳・白馬岳を一望しながら食す。平日にもってきてお昼時を少しずらしたから混雑もしておらず、とても心持ちがいい。腹ごなしとばかりにその後もゆっくりと滑る。気がつくと向かいの山の八方尾根スキー場にみるみると雲が被さる。天気予報によると、夕方から雪が降ることになっていた。どちらにしろ15時20分発のシャトルバスに乗って帰るつもりだった。散種荘にどっさりのっていた屋根雪は1週間前に下ろしてもらっているから安心だ。とはいえ、この間に雪が降ったのはその晩から次の11日の朝早くにかけて、この半日弱だけだった。

晴天のゲレンデに勝るものなし

土日休みの人が、12日の金曜日を休暇にすれば、祝日の11日から14日の日曜日は4連休となる。「2月が1年で最も寒い月」というこれまでの季節感にのっとれば、ここがスキー・スノーボードのトップシーズンだ。新型コロナ禍に苛まれ例年に比べたらかなり少ないとはいえ、さすがにこれまでよりは人出が多い。しかも連日の晴天、13日の土曜日を休養日とした以外、私たちも朝早くから八方尾根スキー場に出向いていた。上にあがればどこを見渡しても素晴らしい景色、晴天のゲレンデに勝るものはない。気温が上がり、向こうの山間に靄(もや)のようなものがかかって幻想的ですらある。

勝手を知ってるから適度に切り上げる

もっと若い頃は、訪れたスキー場を1日のうちに「くまなく滑り尽くしたい」と思ったものだし、実際にそうもしていた。56歳の今シーズン、そうした欲張った滑り方をしなくなった。いや、散種荘をこしらえてそうした滑り方から卒業した。天候が悪い日は家でゆっくり過ごす。勝手を知ったスキー場を来る日も来る日もくまなく滑ることもしない。例えば八方尾根スキー場に出かける場合、まだ荒らされていないコースに立つべく、一番早いシャトルバスに乗り込み8時17分に名木山ゲレンデに到着、その日のコースコンディション、人出、そしてこちらの体調と腹づもりを勘案して、適切なコースだけ適切な時間帯にチョイスする。そこそこ見受ける新型コロナウィルス感染抑制に無頓着な人を避けて、適度なところで切り上げる。すると大体11時を少し回ったあたりで、天気が良ければゆっくりと雪が溶けた道を歩いて帰ったりして12時前には家に着く。不思議なことに、今シーズンはすごく上手になっているような気がしている。

白馬ファーム(株)武田社長が散種荘を訪れた

休養にあてることにした13日土曜日の朝、「薪を近いうちにまた150kgお願いします」と武田社長にメールをうった。すぐさま電話があり「話したいことがあったんだ。会って話した方がいいからこれからそっちに行くよ」と相変わらずエネルギッシュにまくしたてる。2時間も経たないうちに軽トラで手土産持参で現れた社長は、熱を込めて1時間ほど様々なお話をされて帰られた。「ブログで宣伝してくれたし、こっちに話があったんだから」と今回は配送料をサービスしてくれた。しかし、注文した薪は「150kg」だったのに、持ってきてくださったのは「面倒くさいから」(?)と「200kg」、腐るものでもないから、私たちは微笑みながら喜んで「200kg」分をお支払いした。本当に憎めない人である。社長はこう言っていた。「白馬の人間からすると、この1週間は3月後半のような感じなんだよな」

「アンダーコントロール」?

この四半世紀、毎冬ゲレンデに立ってきた経験をもってして、「もはや2月はトップシーズンではなくなった」ここ数年そう感じている。武田社長がおっしゃるように、2月ともなると春の気配が色濃く入ってくる。スキー場の麓の方は、実のところ溶け始めている。散種荘にのっかっている雪も溶けて、屋根から日中ボタボタ絶え間なく水滴が落ちている。これが気候変動ってやつだろうか。昨晩の東北地方の大きな地震は、驚くことに2011年3月11日東日本大震災の余震だという。ちっちゃいなぁ、人間なんて…。僭越にも「アンダーコントロール」とか嘘ついて驕っていてはいけないな。それにしても晴天のゲレンデに勝るものはない。ああ、もうすぐ隠居の身。八方尾根の林をニホンカモシカだって歩いていたもの。

参照:「時には岩岳に浮気もするが…#山の家プロジェクト」https://inkyo-soon.com/sometimes-iwatake/ 「白馬ファーム(株)の武田社長と懇談する#山の家プロジェクト」https://inkyo-soon.com/hakubafarm/

投稿者

sanshu

1964年5月、東京は隅田川の東側ほとりに生まれる。何度か転宅するが、南下しながらいつだって隅田川の東側ほとり、現在は深川に居を構える。「四捨五入したら60歳」を機に、「今日の隠居像」を確立するべく修行を始め、2020年夏、フライングして「定年退職」を果たし白馬に念願の別宅「散種荘」を構える。ヌケがよくカッコいい「隠居」とは? 日々、書き散らしながら模索が続く。 そんな徒然をご覧くださるのであれば、トップにある「もうすぐ隠居の身」というロゴをクリックしてみてください。加えて、ホーム画面の青地に白抜き「What am I trying to be?」をクリックするとアーカイブページにも飛べます。また、公開を希望されないコメントを寄せてくださる場合、「非公開希望」とご明記ください。

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