隠居たるもの、こんがらがってもいられない。実は昨年も押し迫った暮れのこと、コンピューターを一台新調していたのだ。まあ色々と事情があって(嘘です、「年度」という経理上の理由しかありません)、昨年中に発注しておきたかったのだ。2022年へと年が明け、お正月気分が一段落するやいなや跋扈し始めたオミクロンを避け、またしても庵にこもりがちになる今日この頃である。先週の金曜日1月14日、昨年のどん詰まりにDELLから届いていた箱をようやくのこと開けた。

Windows を避けて通れない

これまで使ってきたものが怪しい動きをするようになった。何年くらいになるだろうか。それは仲のいいかつての同僚からとても安く譲ってもらった「中古品」だった。「同居する義母の『ゲーム用』に購入したのだけど、お母さんがよりスペックの高いものを求めて買い直したから必要なくなっちゃった」というWindowsマシンである。私もつれあいもMac派で、通常はMacしか使わない。それなら何故にWindowsマシンを必要とするのかというと、忌々しいことにWindowsでしか動かない業務用ソフトが今も少なからずあるからだ。「それでは普段からWindowsマシンを使えばいいではないか」とのそしりもあろう。しかし私たちの主な用途には圧倒的にMacが適している。何台も持つのは、いわば「苦渋の選択」なのである。

野暮なんだけれども致し方ない

つれあいが細々と営む会社には一応は顧問税理士がついていて(私の大学時代の一年先輩にお願いしている)、その方はTKC(正式名称は栃木計算センター)という税理士グループに所属していて、まずここの経理ソフトが、さもありなんだがWindowsじゃないと動かない。しかしその頃、画期的なことにMacにWindowsがインストールできるようになっていた。しかしだ、「愛用のマシンそのままにWindows環境が手に入る、これで万事解決」と喜び勇んだのもつかの間、そうは問屋が卸さない。やはりメッシとロナウドは同じチームにいてはいけないのだ。予想されたことではあるが動きが「重い」。それに合わせてコンピューターを挟んだ顧問税理士と当時「アドバイザー」であった私の打ち合わせも不必要に「重くなる」。するとつれあいの「よくわからないけど、あんたたちにはだまされないわよ」という職人肌な視線も鋭くなる。こうした根も葉もない緊張にたまりかね、初めてWindowsマシンを調達することを検討し、その結果、かつての同僚に家にあった余剰機を譲ってもらうことになったのだ。

買い物マラソンするほど浅はかでもない

そのマシンがこのところ不安定で、常に蓄積している経理のデータが飛んじゃったりすると大ごとだから、この際、年度内に経費計上して新調することに思い切った。とはいえ画像処理する予定などないスペックが低くても充分な事務マシン、年末でごった返した家電量販店に出向くのも億劫だしインターネットで適当に見繕った。ちょうど楽天が恒例「買い物マラソン」をしているではないか。DELL公式楽天市場店で65,000円ほどのこのマシンを購入すれば、なんともろもろで10,000ほどのポイントを付与してくれるという。搭載されたWindowsも最新の11である。決断するのに躊躇はなかった。それにしても「買い物マラソン」というネーミングが恥ずかしく「なんだかなあ」と苦笑する。「人様より1円でも多く稼ぐことが正義」という御社に踊らされて、買い物のマラソンをすることなどこれからもなかろうが、ポイントはありがたくいただいて、「ただ酒」ってえのはなによりも美味いもんだから、今後にお酒に引き換えさせてもらう。

もうパソコンにはこんがらがらない

今はつれあいの会社の総務や経理の仕事を非常勤で手伝っているから、初めて買い求めた新品のWindowsマシンは主に私が使うことになる。しかし二人そろって完全に仕事をしなくて済むようになるのもそう先のことではないと願いたい。だから手元に置くWindowsマシンはこれが最後になるだろうか。最初にして最後の自ら購入した新品Windowsマシン。20年近く通った勤務先で貸与されていたコンピューターはもちろんWindowsであるし、今さら戸惑うこともない。セッティングして、メインマシンのMacBook Airと長らく愛用しているiPadと並べてみる。「なんかデイトレーダーみたいだろ?」つれあいにそう持ちかけると鼻で笑われた。3台並べて悦に入ってるだけ、作業しているのはこの省察だったりするから仕方あるまい。どちらにしろ、そのうちひとつずつ減っていくだろう。ああ、もうすぐ隠居の身。もうパソコンにはこんがらがらない。

投稿者

sanshu

1964年5月、東京は隅田川の東側ほとりに生まれる。何度か転宅するが、南下しながらいつだって隅田川の東側ほとり、現在は深川に居を構える。「四捨五入したら60歳」を機に、「今日の隠居像」を確立するべく修行を始め、2020年夏、フライングして「定年退職」を果たし白馬に念願の別宅「散種荘」を構える。ヌケがよくカッコいい「隠居」とは? 日々、書き散らしながら模索が続く。 そんな徒然をご覧くださるのであれば、トップにある「もうすぐ隠居の身」というロゴをクリックしてみてください。加えて、ホーム画面の青地に白抜き「What am I trying to be?」をクリックするとアーカイブページにも飛べます。また、公開を希望されないコメントを寄せてくださる場合、「非公開希望」とご明記ください。

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