隠居たるもの、疲弊をためずにひと休み。昨年の大晦日、すっかり日が暮れてからのことだ。夫婦はともに「もう無理」と気がついた。何が無理なのかというと、年末のどん詰まりに一気呵成に掃除をすることが「もう無理」なのだ。これまでにもご紹介したように、我が家の大掃除は文字通り「大がかりな掃除」として挙行されるから、それはそれは一大事業なのである。少しずつ手をつけはするのだが、結局のところ大晦日とその前日は一日中掃除をする羽目になる。元旦を塵ひとつないピカピカの部屋で迎えようとするからそんな無茶をする。昨年もご多聞に漏れず、それぞれの持ち場でギックリバッタリしたあげくに夫婦ともに終わるころにはグッタリ疲れ果て、いいかげん体力的に「もう無理」とようやく観念したのであった。

2021年12月23日今日現在、今年の大掃除はあらかた済んでいる

東京は深川と信州の白馬を行き来するから、いい加減なスケジュール配分をしていると年末進行のクオリティが保てない。昨年に痛感したように、私たち初老にさしかかった夫婦はいざとなっても身体を酷使できない。というかしてはいけない。なので今年から「年末進行とは12月まるまる1ヶ月かけてするもの」と認識をあらためた。幸いにしてせわしい身分でもなくなった。その結果、今日の午前中に年賀状は投函できたし、あらかたの大掃除を終えることもできた。クリスマスイブとなる明日12月24日は、散髪など年内に済ませておくべきことをこなし、夜になってメロン坊やに招待されたクリスマスパーティーに参加する。そして25日、お昼より少し前の、えきねっとで予約した35%オフの新幹線チケットで白馬に出向く。このところは早起きして「8時ちょうどのあずさ5号」に乗ることもなくなった。なぜかというに、信州への移動が「日常」になったからだ。身体を酷使することなく、いつもと同じ時間に起床し、常と変わらず朝ドラを見ながら朝食をとり、洗濯を済ませ、そしておもむろに白馬に向かう。

MIDORI はどこですか、MIDORI はどこですか

軽井沢を過ぎると劇的に乗客は減る。東京駅で買い求めた崎陽軒シウマイ弁当なぞをようやくにして開け、上田駅に着くまでにはたいらげ、そして終点の長野で降りる。白馬行きのバスを待つ間、善光寺口に建つ駅ビルMIDORIで買い物をする。ここの2階奥に入っている信州物産ショップが面白い。長野県各地の味噌や椎茸スープの素、野沢菜油炒めなどのご飯の友、日本酒はもちろんのこと、変わったところではジビエの缶詰などが置いてある。当初はこの店を利用するばかりであったのだが、回を重ね「観光客」でなくなるにつれ、お目当ては1階のこじんまりとしたスーパーに移っていった。北アルプスを眼前にする白馬ではどうにもままならない食材がある。海産物だ。長野市にしたって同じく山に囲まれているわけだが、さすがに交通の要衝である長野駅ともなると話は違う。金沢、富山、新潟、山形から美味しそうなものが直送され並んでいる。

山形沖からやってくる、漁船で冷凍されたするめいか

最初の出会いは、山形からやってきた漁獲されるなり船で冷凍された3杯のするめいかだった。色も濃く、新鮮なのが見るからにわかる。食材の買い物をしてから散種荘に向かうのが常だから、「移動」の際は保冷バックをいつだって持参しているし、白馬で買うのも一部をここで買って行くのも結局は同じことだ。私たちの見立ては間違っていなかった。このするめいか、つれあいがいうには「解凍して料理を始めると、吸盤が指に吸いつくよう」とのこと。とても新鮮でプリプリといつだって美味しい。以後、このするめいかは散種荘に常備されることとなった。また新潟直送の甘エビが棚に並ぶことも多く、風呂上がりのビールのつまみにするとこれまた素晴らしい。頻繁に保冷バックに収められる定番となった。そして今はやはり、新潟直送のズワイガニがずらっと並んでいる。

信州牛(りんご和牛)と信州米豚のハンバーグ

そしてここは海産物だけでもないのだ。精肉店も入っているのだが、それよりなにより大信畜産「信州牛(りんご和牛)と信州米豚のハンバーグ」なのである。ここで見つけ、「時間をかけずに調理してすぐに食べたいとき用」と考えて買い求めた。うっかりお腹が空きすぎてこのままだと不機嫌になってしまうような時、はたまた献立が頭に浮かばないような時、焼くだけでいいこの冷凍されたハンバーグがなんとも重宝し、なおかつとてつもなく美味しい。少なくとも東京の日本橋界隈で、これに匹敵するハンバーグがランチに供されたという記憶がない。もちろんこれも今や散種荘の常備食、ここぞという時に頼りになる。

お取り寄せができるみたい。 
https://meat-market.maruichi.com/item-detail/251724

初老にさしかかり、「どうやって楽をするか」が差し迫った重要なテーマになっている。「お金で解決する」ここで安易に選択されるそうした態度は、思考を放棄していることを自慢しているようでなんとも恥ずかしい。確かに避けて通れない局面もあるにはあるが、即座にそういう選択をする人に限って実は誇らしげだったりするから余計にいたたまれない。ああでもないこうでもないと考えたり探したりする過程こそが楽しいのだ。さて、私たちはMIDORIで次に何を見つけるだろうか。ちなみにMIDORIは松本にもあるそうだ。ああ、もうすぐ隠居の身。齢をひとつ重ねたが、今年もどうやら無事に年を越せそうだ。

投稿者

sanshu

1964年5月、東京は隅田川の東側ほとりに生まれる。何度か転宅するが、南下しながらいつだって隅田川の東側ほとり、現在は深川に居を構える。「四捨五入したら60歳」を機に、「今日の隠居像」を確立するべく修行を始め、2020年夏、フライングして「定年退職」を果たし白馬に念願の別宅「散種荘」を構える。ヌケがよくカッコいい「隠居」とは? 日々、書き散らしながら模索が続く。 そんな徒然をご覧くださるのであれば、トップにある「もうすぐ隠居の身」というロゴをクリックしてみてください。加えて、ホーム画面の青地に白抜き「What am I trying to be?」をクリックするとアーカイブページにも飛べます。また、公開を希望されないコメントを寄せてくださる場合、「非公開希望」とご明記ください。

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