隠居たるもの、ちょっとした贅沢をここぞとばかり。新型コロナ「第7波」!日に日に猛威をふるうオミクロン株BA.5!ここにきて世情はいたってかまびすしい。そんなところにもってきてこんな話をするのもなんなのだが、この1週間というもの、鮨だ天ぷらだと私は会食が立て込んだ。夏のほとんどを白馬で暮らす予定にしているから、半月近くにわたって東京に居座るのは今このタイミングしかなく、「第7波」以前から申し合わせていた「久しぶりに飯でも」という約束を配置するとなると、どうにもずらっとここに並べざるを得なかった。私的怨恨に基づく安倍晋三元首相銃撃殺人事件の翌日2022年7月9日土曜日、3年前に閉店した近所の店で落ち合ってはよく一緒に飲んでいた同年代の夫婦3組が、2年7ヶ月ぶりに顔を合わせたところからそれは始まる。

ちょっとした祝い事は香取鮨で

新型コロナ禍で長らく控えていた近所の飲み友だちとの再会は楽しく、新大橋通り沿い、住吉駅よりの「彩華」の中華料理は美味しく、翌日にちょっとした祝い事を控えていた私たち夫婦は、はからずも食べ過ぎて飲み過ぎてしまう。しかし…

午前中に両親の墓前に報告し、昼にメロン坊やご一行を清澄白河の香取鮨に呼びたてていた。先日7月2日に引き落とされた最後の返済をもって、とうとう私たち夫婦は住宅ローンを完済したのだ。父親が営んでいた工場の借金やらこの住宅ローンやら、35年の長きに渡った私の「借金人生」がついに終わったのである。「がんばったんだなあ、ふふふ」と感慨深い。こういうときは香取鮨にかぎる。ことさらに美味しい大将おまかせ10貫(供されるのはいつも12貫だが)は昨晩の食べ過ぎを忘れさせてくれた。なんだか身体が軽くなった気すらする。(実のところはお腹まわりを2kgほど絞らなければいけない…)もとより身軽なメロン坊やが、父親の力を借りて祝いの舞を披露してくれた。

門前仲町ふく庵の天ぷら

前段の省察「HEY HO LET’S GO ! 」でお伝えしたように、7月12日には「邂逅の一席」をもった。この宴はある意味34年かけてようやく実現したものであるから、「第7波」を理由に延期するという選択肢なぞ私たちは持ち合わせていなかった。それを経た14日、やっぱり2年8ヶ月ぶりくらいになろうか、私は久しぶりの門前仲町ふく庵で天ぷらをつついていた。

「ふく庵」は、門前仲町近く福住の名店「みかわ 是山居」で“天ぷらの神様”と呼ばれる早乙女哲哉のもと修行した愛弟子が、富岡八幡宮の並びで5年前に開店した江戸前天ぷらの密かな名店だ。鶴見で暮らす中学高校の友人から教えてもらったのだが、訪れてみると、元はスナックだったところを居抜きで借りているような店の佇まい、食べ物のメニューはコース3,980円のみという潔い設定、大変に好感が持てる店だった。もちろん店主の腕前は申し分ない。どうやら緊急事態宣言時には休業していたらしい。その間に店を改装したようで、もう「スナック」のような雰囲気はなかった。コースも4,000円と6,000円のふたつになっている。それにしたってこの味でこの値段、いずれは相応の料金となるだろうが、とにかく今はまだ破格。とはいえ、いくら美味しくても揚げ物をたっぷり食べられる年恰好ではすでにないから、私たちが選択したのは「4,000円」の方だった。

「おめでとう、これお祝いね」

同席させていただいたのは、私が所属する大学の同窓会会長ご夫妻である。私のつれあいもいれて「4人で食事でもしようよ」と年初よりお誘いいただいていたのだ。新型コロナ「第6波」でいったん延期となった約束がようやくこの日に実った。どの店にするかはお任せくださったから、「そうだ」と思いつきふく庵に電話する。幸運なことに14日にひとテーブル空きがあった。ひどい雨が降りしきる中、会長ご夫妻は門前仲町まで来てくださった。

奥様から「これは住宅ローン完済のお祝い。どう?身が軽くなったでしょ?」とマッカランを頂戴する。奥様は、私がFBに流した「完済報告」を目にしてくださっていたのだ。高価なシングルモルトをいただき大変に恐縮する。あらためて確かめると、会長は私からして一回りくらい上の先輩になる。ご夫妻ともに福岡出身で私のつれあいは熊本出身、同窓会の場では話したこともないプライベートかつローカルな話題で即座に盛り上がる。一品ずつ揚げられてくる生粋の天ぷら職人の天ぷらは本当に美味しく、あれやこれや、話はつきない。あっという間に2時間が過ぎ、店主の奥さんが店を閉めるという。お勘定は知らぬ間に会長の奥様が済ませてくれていた。これまた恐縮至極である。外に出ると雨はほとんど上がっていた。

しめに吸い物とかき揚げ小天丼

そしてマッカラン

たぶんはやまったんだろう。つまり6月末時点でまだ梅雨は明けていなかったに違いない。過酷な「熱波」を前に、狼狽してうっかり「梅雨明け」宣言をしてしまったと推察する。そうでもなければ、連日各地で雨が降りやまないこと、30℃を超えない日々の最高気温、そんなこんなを説明できまい。山間地である白馬は、大雨が降ると国道が通行止めになり電車が止まる。だから梅雨の間は避けてできるだけ東京に身を置くよう予定を立てている。この半月ほどはその期間にあたる。白馬から連日「国道406号通行止め」と防災情報が届く。どちらにしろ気候変動ばかりが「スピード感をもって」より激甚化する中、もはや「梅雨入り宣言」も「梅雨明け宣言」もあてにはならないということだろうか。すでに亜熱帯化している日本である、「5月から10月までは雨季」そう捉えた方がいいのかもしれない。

一連の愉快な会食も終えこれで一段落、私たちは来週後半から白馬に引きこもる。あちらとこちらで暮らし方はすっかり変わる。それもまた楽しからずや。ああ、もうすぐ隠居の身。いただいたマッカランは白馬でゆっくりと飲ませていただきます。

投稿者

sanshu

1964年5月、東京は隅田川の東側ほとりに生まれる。何度か転宅するが、南下しながらいつだって隅田川の東側ほとり、現在は深川に居を構える。「四捨五入したら60歳」を機に、「今日の隠居像」を確立するべく修行を始め、2020年夏、フライングして「定年退職」を果たし白馬に念願の別宅「散種荘」を構える。ヌケがよくカッコいい「隠居」とは? 日々、書き散らしながら模索が続く。 そんな徒然をご覧くださるのであれば、トップにある「もうすぐ隠居の身」というロゴをクリックしてみてください。加えて、ホーム画面の青地に白抜き「What am I trying to be?」をクリックするとアーカイブページにも飛べます。また、公開を希望されないコメントを寄せてくださる場合、「非公開希望」とご明記ください。

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