隠居たるもの、ここまで押し迫って振り返る。いよいよ大掃除も完了するかという大晦日の昼下がり、風呂掃除の休憩中に今年最後のこの省察を書き始めている。この「もうすぐ隠居の身」と題するブログを始めたのは昨年の2019年5月のことだ。以来、1年と7ヶ月半、長く休むこともなく書き綴ってこれた。今段を合わせると総数にして238段、今年一年に限っては143段、働き者である。

ダイスを転がしたか?

年初にその年のテーマ、というかキャッチフレーズのようなものを決めている。自分で決めておきながら早々に忘れてしまい、覚えていないことも多いのだけれど(多いどころか本当のところは「ほとんど」といっていいかもしれない)、こうして日々に省察しているからだろうか、昨年の「Everything is in its right place.」と今年の「TUMBLING DICE」を忘れたことは片時もなかった。それでは、新型コロナウィルスに席巻されたこの一年、私はテーマ通りにダイスを転がしただろうか?そう、幸いなことに予定通りダイスを転がし続けたのである。「定年退職」を果たし「山の家プロジェクト」を形にした。ここで「幸いなことに」と前置きするのは、昨年までにすでに「絵」を描いていて、あとは転がすだけだったからできたと考えているからだ。予定していたのが今年ではなく来年だったとしたら、今年のこの世情である、満足に「絵」を描くことはできなかっただろう。そのうちに計画自体が頓挫してしまうことだってないことじゃない。ありがたいことだ。そして、運よくダイスを転がしてみて、はっきりと分かったこともある。え?風呂のドメストつけおき時間が過ぎた?はい、風呂掃除に戻ります…。

大掃除中の昼食はこうしたものに助けらる

例えば、やはり「美味しいもの」が好きなのである。だけど…

ふう、風呂の大掃除を終えた。あとは全体的に掃除機をもう一度かけて、トイレを掃除するだけ。はっきりわかったのはこういうことだ。自分の身の回りのことは自分でやりたい。アウトソーシングするのがどうにも性格に合わない。例えば、やはり「美味しいもの」が好きなのだけれど、やたらと料金の高い店に「いつか行ってみたい」もしくは「頻繁に行けるようになりたい」とはもう思わない。それらの店の料金設定が、勘定に見合っているとも今となっては思えない。だからミシュラン東京やその類の雑誌を立ち読みすることもない。いま馴染みにしている店は自分で探した店だ。それに加えて素敵なスーパーを知ってさえいればそれで充分、だからA-COOPを白馬に見つけたことがとても嬉しい。もうひとつ、高価な宿泊料金を支払ってラグジュアリーな雰囲気に浸る必要を感じなくなった。なけなしの退職金でこしらえた散種荘で、家事をしながら日を送るのはとても贅沢なことだ。調度品だって、コーディネーターや雑誌に頼らずすべて自分たちで選んだ。また、雪が積もった敷地内を、栗鼠が駆け回る環境がそのままであってほしいから、Co2をやたらに排出しない移動を心がけたい。音楽を聴きながら踊りはするが、情報に「踊らされる」のは御免被る。くすぐられる「虚栄心」は、白馬に来るまでのどこかに置き忘れた。

ひるがえって世の中のダイスは転がっているのか?

昨日の午後、小池百合子都知事が記者会見をされた。「お正月は『東京かるた』で遊ぶように」とあらためて呼びかけるのかと思いきや、今まで背景にあった「東京かるた」ポスターはすでに剥がされていた。「じきに1000人を超えることを知ったのだな」と思った。12月31日、今年最後の新型コロナウィルス新規感染者数は東京で1337人だそうだ。そりゃあそうだろう。この間、「Go To キャンペーン」とか今この時にやってはいけないことを一生懸命に推進し、抑制するための対策は春に小さな布製マスク2枚を配ったあの歴史的愚策以外に何もしていないのだ。それどころか、12月4日に野党4党が対策を強化するための特措法改正案を提出したにもかかわらず、会食に忙しかったガースー首相はいつもの仏頂面で無視を決め込み早々に国会を閉めた。

上に掲載した写真は昨年最後の省察「Everything is in its right place.」(https://inkyo-soon.com/everything-is-in-its-right-place/)の扉にしたものだ。下に掲載する写真は、近所のまるっきり同じ場所で撮影した1週間前のものだ。賄賂を受け取った容疑で逮捕され、その保釈中に当事者に裁判で嘘の証言をするよう買収した容疑で再逮捕された、自民党は離党したのに二階派には所属が許されている元IR担当副大臣のポスターのデザインが変わっている。だけど、何かが変わっているようには思えない。ダイスが転がされていないのだ。少なくとも「正義」が「常に前へ」進んでいる気配がない。東京オリンピック・パラリンピックが来年に開催されるかどうかはいたって怪しいが、選挙は必ずある。もういい加減に「TUMBLING DICE」する時ではないか。

なんと、もう少しで徒然草を超えるのだ

徒然なるままにしたためる「もうすぐ隠居の身」である。恐れ多いことだが、ひそかに「これは私の『徒然草』なのだ」などと放言することもある(といっても、少し酒が入ったとき、それもつれあいに対してだけだが…)。「徒然草」は全243段で構成されている。「もうすぐ隠居の身」はこれにて238段目、来年の1月中には「徒然草」を超えることになるだろう。読んでくださっている皆様、来年もどうぞよろしくお願いします。ああ、もうすぐ隠居の身。とにもかくにも良いお年を。

投稿者

sanshu

1964年5月、東京は隅田川の東側ほとりに生まれる。何度か転宅するが、南下しながらいつだって隅田川の東側ほとり、現在は深川に居を構える。「四捨五入したら60歳」を機に、「今日の隠居像」を確立するべく修行を始め、2020年夏、フライングして「定年退職」を果たし白馬に念願の別宅「散種荘」を構える。ヌケがよくカッコいい「隠居」とは? 日々、書き散らしながら模索が続く。 そんな徒然をご覧くださるのであれば、トップにある「もうすぐ隠居の身」というロゴをクリックしてみてください。加えて、ホーム画面の青地に白抜き「What am I trying to be?」をクリックするとアーカイブページにも飛べます。また、公開を希望されないコメントを寄せてくださる場合、「非公開希望」とご明記ください。

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